ブログ2020/10/16
家の間取りは、予算を含む要望だけでつくるものではなく、
その土地がどんな環境であるかに大きな影響を受けます。
また、間取りと同じように家の外観も、
その土地がどんな環境であるかに大きな影響を受けます。
本当に暮らしやすい家をつくるためには、
周囲の状況は、切っても切り離せないものだからです。
おはようございます。
SIMPLE NOTE 岡山南スタジオ 新内です。
例えば、今回お伝えさせていただくお家が建っている土地は、
この図の中の売地Cです。明るくて気持ちいい家が建てられそうな
南向きのAやBではなく、です。
では、なぜ日当たりが良い南向きの土地を買うことが出来たにもかかわらず、
あえて買わなかったのでしょうか?
この立地条件で注目すべきなのは、南側にある道路の南に建っているのが、
ワンルームマンションであるということと、その共用部分である通路と
マンション全部屋(3階建24部屋)の玄関が、北向きであるということです。
つまり、常にマンション住人の視線を浴びることになるし、
かつ、賃貸物件であるがゆえに、住人も定期的に入れ替わるため
プライバシー的にも防犯的にも、決して良いとは言えないというわけです。
となれば、せっかく南向きに大きな窓をつくったとしても、
カーテンで閉じてしまいますよね?
そして、家の中に差し込む光量が弱くなり、
日中ずっと薄暗い家になってしまいます・・・
また同時に、開放的とは真反対の
閉鎖的な家になってしまいます・・・
それゆえ、AやBの土地ではなく、あえて、マンションからの視線を
遮ることが出来るCの土地を購入されたというわけですね。
結果、学校までの距離や環境は全く同じであるのに、
AやBの土地よりも250万円も安く土地を買うことが出来ました。
つまり、住宅ローンにかかる金利も含めると300万円もの予算が
カット出来たということになるのですよね。
とはいえ、Cの土地で誰もが頭によぎることは、
“日が当たらないのじゃないか?”ということですよね?
これは、このお家のリビングの写真ですが、
窓から太陽の光がたっぷりと射し込んできています。
たとえ、真南にそれほど距離を空けずして、
2階建てのお家が建っているとしても、です。
この秘密は設計にあります。Cの土地で家を建てる場合、リビングを
敷地の一番南に配置しても、リビングに充分な光を届けることは出来ません。
また、南からの採光が難しいからと、道路面である東に大きな窓を
つくってしまうと、道路を挟んだ向かいのお家や、
その道路を通る人たちから、家の中が丸見えになってしまうため、
結局カーテンを閉じた状態の薄暗い家になってしまいます。
それゆえ、リビングの位置を工夫することによって、
明るさとプライバシーの確保を、同時に実現したというわけです。
このお家のリビングの窓は、南に建っているお家から、
5.5mほど距離を開けてつくっています。
太陽高度が低くなる冬でも、南からの光をリビングの中に
採り込みやすくするためです。
また、それに加えて、リビングに吹抜けをつくり、
かつ、吹抜けにも大きな窓を設置させていただきました。
高い位置にある上階から、下階に光を落とすことにより、
より採光が安定するからです。
このように、土地が持つ環境に合わせて、間取りをつくるようにすれば、
明るく、プライバシーが担保されたメチャクチャ住み心地が良い住まいを、
どんな土地でもつくることが出来ます。
しかも、このお家のように、パッと見ただけでは、全く間取りが
分からないように出来れば、防犯性もグンと高くなりますしね。
ということで、間取りや外観は、土地の環境に最も左右されるということを
覚えておいていただければと思います。
そして、あなたが持つ要望が、どんな土地でも常にベストではない、
ということも、合わせて覚えておいてくださいね。
それでは・・・。