ブログ2018/11/30
先日、機会があって、とある住宅会社の営業の方が作成した資金計画書と間取り図面を拝見させていただきました。
その間取り図面は、資金計画書に記載されている家の予算を少しばかりオーバーしそうですが、相談しながら修正していけば、ほとんど予算オーバーすることもなさそうなプランでしたし、エクセルシートでキレイに作成された資金計画書も、一見よくできたもののように見えました。
しかしながら・・・。
おはようございます。
SIMPLE NOTE 岡山南スタジオ 新内です。
資金計画書を細かくチェックしてみると、いくつかの問題点が発覚したのです。
まず、1つ目の問題点は、
① 変動型の住宅ローンが提案されていたこと
です。もちろん“変動型の住宅ローン=間違い!”というわけでは決してありません。
ですが、このお客様は固定金利を希望されているはずなのに、なぜか変動型の住宅ローン商品の手数料額が記載されていましたし、保証料は何の説明もなく、金利に上乗せするような形になっていました。
変動型の住宅ローン商品では、初期費用が保証料と事務手数料と印紙代しかかかりませんし、保証料は最初に一括でボンと払うか?
あるいは携帯電話のように、毎月の金利に上乗せし、分割という形で支払っていくか?を選択することができます。
他方、固定型の住宅ローン商品では、その3つの費用以外に、融資手数料といわれるお金がかかってきます。
この金額は、各銀行によって様々ですが、仮に借入額の2.16%(税込)がかかってくることになるとすれば、2000万円の借入なら43.2万円が、3000万円の借入なら64.8万円の手数料が、別途でかかってくることになります。
つまり、変動型を選ぶと、初期費用が固定型の商品よりも安く済み、その分を家や土地の方に回すことができるようになるというメリットが存在するというわけなのですよね。
しかしながら、この商品では、当初の固定期間が満了すると(3年、5年、10年とあります)金利が見直しになってしまい、一般的には、その金利の見直し時点で金利が上昇することになります。
ですから、そもそもそこまで貯蓄ができる余裕が無い場合や、あるいは貯蓄が苦手な人の場合や、お金のコトに関して敏感で、金利の交渉をすることが苦痛ではなかったり、借り換えの手間もいとわないという方ではない限りは、それほどオススメしないし、しっかりこの説明をさせていただくと、多くの方が固定型の住宅ローンを選ばれます。
たとえ、それによって数十万円家づくりの予算が減ることになってもです。
② 火災保険の予算が漏れていたこと
これが2つ目の問題点です。
銀行で住宅ローンを借りるとなると、火災保険への加入が必須項目となってきます。
(昔のように質権設定までされることはありませんが、保険の証書のコピーを銀行に渡さないといけません。)なのに、この項目がスッポリと抜け落ちてしまっていました…
火災保険は、家の金額だけじゃなく、補償の範囲や年数、構造などによっても金額が変わってくるものなので、一概にいくらとは言えませんが、弊社では15万円~20万円ぐらいの金額をこの項目に計上するようにしています。
(最大で10年分の保険料を最初に支払っていくことができるし、長期間かけておくほど割引率がよくなるので。)
もし、後からこれだけの費用が必要だと言われたら、非常に困った状況に陥ってしまいますよね?
③ 外構工事の予算が少なすぎること
これが3つ目の問題点です。
このお客様の購入される土地は、72坪もの広さがある土地です。
この広さだと、整地をして砂利を敷き、駐車場のコンクリートを打ち、境界のブロックを積み、ポストと表札を設置するだけでも、土地の面積×1万円ぐらいの費用が必要になってきます。
つまり70万円強の費用がかかってくるということです。
なのに、たったの30万円しか予算が計上されていませんでした。
これでは、業者さんに頼んで、砂利を敷いてもらうことすら難しいかもしれません。
ましてやコンクリートなんて絶対に無理となってきます。
実は、この外構工事が最も予算が崩れやすい項目です。
なぜなら、家を建てる前までは、それほどお金をかけなくていいと考えていたにもかかわらず、家が完成間近になってくると、やっぱ庭もきれいにしたいという願望が生まれてくるからです。
しかし、これだけしか予算がなかったら、どうすることもできませんよね?
④ エアコンが3台で15万円!?
これが4つ目の問題点なのですが、これはどのように思われますか?
在庫処分のため安売りしている6帖用の分なら実現できるのでしょうか?
設置代まで含めてこの価格で…
おそらくリビング用のエアコンの製品代だけでも、15万円以上かかってくるのが今の製品ではないでしょうか?
それに加えて設置代もかかってきますしね。
そう考えると、3台で30万円ぐらいは計上しておかないと、いざエアコンを買いに行った時に、困り果てている自分の姿が、容易に目に浮かびますよね?
⑤ カーテンの予算が少なすぎること
これは5つ目の問題点です。
弊社ではカーテンを極力つけなくていい間取りをご提案させていただくことから、0円~10万円の間の予算で充分足りるわけですが、人目に触れ方向に大きな窓をたくさん作った間取りでは、それら全てにカーテンをつけざるを得ないことから、そのようなわけにはいきません。
拝見させていただいた間取り図面では、大きな窓だけでも5カ所あったうえに、カーテンを設置すべきであろう小窓もいくつかあったので、おそらく最低20万円は予算を計上しておかないと、後から余分な出費に苦しむことになってしまいます・・・。
にも、かかわらず10万円しか予算をみていませんでした。
おそらく、たとえニトリと言えども、10万円で予算が足りることはないでしょうから、後から困った状況に陥ることは間違いないでしょう・・・。
いかがでしょうか?
これらが、この資金計画の中に潜んだ落とし穴です。
これらを合わせると、少なくとも100万円以上、予算にズレが生じることになってしまうわけですが、このような土地や家以外にかかってくることになる諸経費に対する計算の甘さが引き起こす予算オーバーは、実は、多くの方が直面している現実です。
これによって、ゆとり資金として残しておいた貯金まで全て食い尽くしてしまうなんてことは、決して珍しい話ではありません・・・。
ですから、初めての家づくりで、分からないことも多々あるとは思いますが、しっかりご自身でも勉強し、自分の身を守るようにしていただければと思います。
資金計画も、ただしていれば安心というわけではないですからね。
気を付けてください!
それでは・・・。